開業にあたって

 2020年10月に社会保険労務士としての人事コンサルタント事務所を開業いたしました代表の神崎です。
 私は大手電機メーカーの人事総務の関係仕事を30年近く担当しておりました。定年後になぜ社労士として人事コンサルタント事務所を開業したかを少しお話しさせていただきます。

 リーマンショックの直後の最も世の中が不況に陥った時代。私はグループ会社に出向いたしました。前任の社長からこのままでいくと赤字になるかもと告げられボー然といたしました。会社は本業とはかけ離れた福利厚生会社であり、従業員は30名程度の小さな会社でした。全員面談をしてみると、家族を含めると100名近くの生計に対する責任がずっしりと感じられ、ただ事ではないと思った瞬間でした。

  それまでは社長とは権限の大きさでそのご苦労を想像していたのですが、むしろ責任の重さにその想像を絶する違いがあると感じたわけです。時として非情な決断をしなければならず、結果に対する言い訳は一切通用せず、ましてや社長は責任の転嫁もできない、誠に孤独な存在だということです。親会社が何とかしてくれるだろうなどと甘い考えを排して、一人ひとりが危機意識をもって行動できないとこの会社はつぶれるぞと必死の思いを社員に訴えかける毎日が始まりました。

 それまで経営状態がよく説明されてなかった社員たちに、すぐには私の行動は理解されませんでした。最初の決算が赤字で終結すると、全員が同じ意識を持ってくれるのには時間もかかりませんでした。詳しくは述べきれませんが、この間、夜も眠れない思いを何度も経験しました。世の中で整理解雇がニュースで多く流れる中、人員整理は全く考えてないとあえて宣言し、社員たちに会社の現況を理解してもらいすべきことは何かみんなで考えようと必死の思いで号令をかけ続けました。ある社員の小さな提案が契機となり、小さな改善コストダウン提案等がいろいろな場面で取り上げられ社内の業務効率は徐々に上がっていきました。リーマンショック後の冷えた経済環境下では全体として売り上げは十分伸びませんでしたが、業務の生産性は上がり営業利益率は4年間で1.5倍近く稼ぎ出す力をつけることができるようになりました。

 この会社の責任者の立場になる前は人事総務部門を専門に担当していました。企業経営にとって大切な人・物・金・情報の3大要素のうち「人」は他の要素と異なり理性・感情・意欲のある特別な要素であることは理解しておりました。しかし社長が何に向かってなぜ必死になっているのか、会社経営状況が全員に共有され理解されることで初めて、「人」がその力を自律的に発揮するのだということを身を持って体験いたしたわけです。人員整理をしないと社長として宣言できたことが、雇用の不安なくし、ぎりぎりの中で会社のために何をすべきかということを考えさせる動機づけになったのは明らかでした。

  以上のような経験をへて、第二の人生になった今、図らずもコロナショックで世の中が不況に陥ってしまうか、そうならないか瀬戸際の時期に来てしまいました。厳しい経営状況のかなであっても、人を思い人を信頼することが人を伸ばし、会社を強くするという信念は絶対的な確信となっております。会社の思い社長の思いを人事制度に作りこみ、社員と相互信頼の関係の中で運用することができれば、会社はどんな環境でも生き残れることはできるはずです。

 私は中小零細企業の社長様のお気持ちを理解したからこそ、私の持っている30年余りの人事経験は経営者の立場でご相談に応じられるのではないかと思っております。社長様方の思いが伝わる経営のご支援をさせていただくことを通じ社会に貢献させていただく決意を述べ、開業のご挨拶とさせていただきます。

私のキャリアと人事コンサルタントとして

人事関連畑(人事・福利厚生・安全衛生)の経験は要約しますと以下の通りです。


分  野

担当業務

具体例


採用業務
   4650人の採用を行いました

・採用対象はパート・アルバイトから・正社員・期間従業員・紹介予定派遣社員採用まで
(1) 定期採用
   2100の採用を行いました
・高卒・高専卒・短大卒・大卒事務系・大卒技術系定期採用業務他・全国各地の学校・ハローワークの訪問、会社説明会を行ってきました。
(2) 中途エンジニア職採用
   1350の採用を行いました
・エンジニア職中間採用
(3) 中途技能系採用
   1200の採用を行いました
・期間従業員制度企画・実行

新入社員教育他
階層別研修・ハラスメント研修・各種人事制度導入および定着研修等 延べ200実施
受け入れ教育企画・工場実習、新任課代/課長/部長研修、中堅社員研修、セクハラ研修、メンタル研修、新人事制度(役割等級制度・人事評価・役割給)導入研修、連続操業制度導入研修、期間従業員採用研修等々



就業規則・配属・異動 社内公募制度採用配属情報共有化システム
昇進昇格・昇格試験昇格試験制度見直し
出向者管理・海外出向候補者登録試験全社英語検定試験事務局
勤務管理連続操業体制企画立案、日常相談窓口
職能給・役割給人事制度他
運用企画及び人事制度締約管理研修 合計40回担当実施
等級制度・人事評価制度・賃金制度・目標管理制度導入プロジェクト、関係教育実施



人事管理・労使関係・日常の個別労務相談・対労働組合交渉窓口および労働基準局・労働基準監督署対応業務等多数
福利厚生寮社宅・社内預金制度・コミュニケーション対策他
安全衛生メンタルヘルス教育・OSHMS安全衛生監査等

 上記の分野は非常に業務の幅は広く、施策にかかわる部分と運用にかかわる部分の両方を担当いたしました。
 単独の施策で目に見える効果が出る施策は多くあるわけでなく、施策相互の影響をバランスを取りながら企画していく必要がある分野ばかりです。

 広告で人事評価制度を変えればみるみる社員のやる気が変わる!なんていうキャッチコピーを見かけたりしますが、一般的に、評価制度だけ入れ替えてもそれだけでは問題解決になりません。社員の動機づけに関連することとしても労働条件の検証、人事施策としては等級制度・目標管理制度・賃金制度を含めやるべきことは数多くあります。
 また制度・規則の導入をしても、それが定着して効果を発揮していくためには運用面での細かな調整(評価基準の見直し・評価者フォローアップ教育・日常のフィードバック教育・キャリア育成教育管理等々)をしていくことがとても重要です。

 現役時代にも外部のコンサルタントの方々との業務上のお付き合いはありましたが、専門家の方々は制度導入にあたっての企画知識、法律知識はとても専門的なものをお持ちですが、運用の際、社員の予想される反応、その中でどのような調整が必要か、見直しのタイミングはどのような時期に行うべきか、修正の方向のために日常どのような情報を取得管理していくべきか等の予防的で地味な取り組みを想定しての質問に満足したアドバイスをいただけるコンサルタントの方は事実上おりませんでした。

 ロルフ・ドベリの著作(安原実津 訳)“Think clearly”でも「重要なのは「スタート」ではなく「修正技術」のほうである」と免疫システムのことを例に述べられた記述がありましたが、良いシステムと思っても、何度も突然変異は起こり、常にそれらを見つけ修正する技術が本当の意味で重要であるといわれているのであります。

 人事制度というシステム の場合、導入時にシステムは動かせても、すぐにフォローが必要なのは、その対象が人であり、「人の気持ち考え方はなかなか変わらない」からです。腑に落ちるまで相当な時間を要するものです。

 このような経験から、わたくしがコンサルティングを行わせていただく際には、制度導入・見直しのご支援はすることはもちろんですが、むしろ導入後の制度の変化、その時の気づきと調整をどのようにしていくのか想定し、ご注文をいただいた企業様の内部で十分対応できるコア人材を育成することをその特徴としております。それが一般的なコンサルタントの方と異なる点であり、それができる専門人事コンサルタントであると自負しております。

お客様との3つのお約束

 人・物・金・情報と経営の4大要素は表現されます。
 その筆頭に上がる「人」に関することは、「企業は人なり」とその重みを表現したり、その意味合い、大切さに関して多くの格言があるところです。唯一無二の真理がある自然科学とは異なり、感情や意欲や理性のある「人」を扱う人事の仕事では、様々なものの見方考え方により“正解”(合意形成ができること)が変わってきます。そのような中で信頼を前提とした人事の仕事に向き合ってきて、信条としていることが3つあります。

 第1にどのような無理難題であっても「逃げない」で事実と向き合うこと。
第2にその場を逃れるために屁理屈を言ったり、嘘をついたりしないこと、すなわち「自分の言葉に責任を持つ」こと。

 そして第3はどんな些細なことであっても馬鹿にすることなく「一生懸命」取り組み、明日この世にいなくても後悔のない「一日一生」の思いで取り組むということです。

 お仕事をさせていただく際には必ず実行していくことをお約束いたします

※お客様のお仕事をお引き受けする際には、社労士法の倫理規定【社労士法第15条(不正行為の指示等の禁止)社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。】に反するご相談はできないこととご理解のほどお願い致します。


ご提案する人事制度の特徴 3 + 1

  前段の私の信条の欄で「企業は人なり」と申しましたが、その最も大切な「人」も利益が確保できないことには雇用を守ることはできません。ぎりぎりの厳しい環境では、あらゆることを選択肢として経営者は考えなくてはなりません。
 リーマンショックの際、私は、コストを削減できるプロセスはないか、分野は違っても新たなチャレンジできる事業はないか、既存事業で伸ばせる分野はないか・・・・・そして最後に頭をよぎったのは雇用の調整をして人件費を削減できないかということでした。

 この厳しい渦中で助けられたのが、戦国武将の武田信玄公の「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」との名言でした。この言葉が人員削減という本当の意味の最後の手段を意思決定の枠から遠ざけてくれる教訓となりました。

 すなわち主を信頼できる「人」の集まりを作れれば、その人材こそが城であり石垣にもなり堀にもなるということです。会社経営で置き換えれば会社の経営方針、それに基づく人事制度、またその日常の運用の仕方すべてが一貫して、「人」を大切に思う気持ちが肌で感じられれば、社員は苦しい経営状況であっても、会社を信頼し会社の味方になることを意味しております。

 もちろん「信頼を得る」ことは口先ではなく、会社は社員の能力を引き出し、組織としての力を強くすることで収益力を上げ、社員の労働条件も向上させようとしているという正の会社理解が深まった場合に初めて生まれてくるものです。

 逆に、会社の業績が好調であっても労働条件はアップしなかったり、何かにつけて会社規則等で理由なくに一方的に抑えつけられていると感じれば、不信感を抱き必ず反発や敵意を抱くものです。そういうことが重なれば、職場風土は荒れ、不況時には当然のこと、苦しい経営状況でなくても、蜘蛛の子を散らすように離散して会社という城はいつの間にか崩壊し ていくことになます。

 私は悩んだ挙句、この信頼にかかわる気づきがきっかけで「人員削減」の発想が変わり、本社のある業務の効率化のために当社の人材を活用しませんかと逆転の売り込みに行くという策をとることができました。結果として親会社とWinWinの関係を提案できることで、送り出される社員のモチベーションも仕事に対して大いに盛り上がりました。

 このようなことから、名実ともに「人を大切にする会社であると理解される人事制度が会社の発展を図っていく」と自信を持つことができ、ご提案する人事制度の軸とすることにいたしました。この人事制度は役割等級制度、育成評価制度、賃金制度、目標管理制度等すべて一貫して「人を育てる思想」で貫かれた制度として組み上げられているものです。

 これら人事制度は大きくは3つの特徴があります。

第一の特徴として、会社の発展と社員の労働条件向上は表裏一体をなしており、会社の発展のために経営上適正な予算の範囲内で賃金原資をコントロールできる賃金システムをベースにおき、経営基盤を支える仕組みとなっているということです。労働条件の向上の原点は会社経営であることは言うまでもないことだからです。

 第二には会社発展のためには、社員の能力の伸長・努力・やる気が不可欠であり、そのために目標に向かう社員の姿を日常からしっかりと見つめ、支援する(フィードバック)「育成型人事評価制度」とが密接に結びついている人事制度であることが第二の特徴としております。
 単に「成果に応じ賃金原資を分配するだけの公平性を追求した制度」(分配のための相対評価制度)ではなく「上司の身近なフィードバックを通じ、本人の自発的な努力と能力の伸長を評価する育成評価制度(絶対評価制度)」と対にすることで本人のやる気を引き出す仕組みを作りこんでいます。

 そして最後になりますが、人が活き活き働くためには、一人一人をよく見極め、適正配置を行い、組織を機能させるための役割づくりをすることが必要です。会社のビジョンや戦略、個人の役割をできるだけシンプルに結び付け、役割期待を明確にすることで(等級制度)、それと経営ビジョン、目標設定が相互に結び付くことにより、目標周辺領域も自律的にチャレンジし成果を出せる人材の育成を図る自律型目標管理システムが第3の特徴です。

 信玄公はさらに、「信頼してこそ、人は尽くしてくれるもの」 という言葉も残しています。口先だけでなく、時に自分から頭を下げて「人」を信じようと心がけたとも伝わっています。

 社員のモチベーションは、社長(上司)からの信頼が対話を通じて伝わることで高まり ます。信玄公のように上司からの的確なフィードバックと評価があれば、社員の方々の士気も上がり自律的に行動できる社員が育成されていくことになります。以上の3つの特徴を持った人事制度の導入は、会社の発展を思い、現状を理解しながらミッションに向かって行動できる「自律型社員」の創出にきっとお役に立つものと確信しております。

 私の提案する人事制度の特徴を3つ述べてまいりましたが、最後に他のコンサルタントの方々とは異なった第4の特徴を述べさせていただきます。それは「人を育成する人事制度を導入することで終了」ではなく、制度趣旨に沿った形で運用できる制度になるようコア人材を育成するところまで責任を持つコンサルティングであるということです。

 このことは長年の人事担当として学び取った“制度は導入すれば途端に陳腐化が始まり”、「制度を正しく運用するための微調整の巧拙が、制度が定着・機能するか否かの鍵となる」といった経験からきております。制度導入後、それを運用しながら正しく調整することができる自前のコア人材を確実に育成することは、導入した会社様の投資を無駄にせず、投資効果を確実なものにするという最大のサービスではないかと考えております。

 なぜそのようなことが言えるかと申しますと、制度の対象となるのが人間であり、人はみな「思い」があるからです。新しい人事制度を導入しても、長年慣れ親しんできた制度は変えたくないし、その新しい人事制度の研修を受けるものの、気持ちはすぐには変わらないものだからです。言い換えますと“理解はするものの腑に落ちるまで納得できない”からです。

 そのような中で制度が運用されるといつの間にか「思い」を表した運用が自然発生的に生まれ、既得権となり、制度趣旨がいつの間にか失われていくということです。制度は理由があって合意の上で運用方法が変更されるのはいいのですが声の大きい人により変更されたり、知らないがゆえに都合よく運用されていくことが制度を歪めていくことになります。これを放置すれば社員の間にいつの間にか不満と不信をもたらします。

 こうならないためには制度を計画的に教育し、問題点をくすぶらせず抽出し、正しく議論の上、定期的に修正をかける必要があります。そのためには制度熟知し、課題を日常拾える社内の専門家が必要です。この重要性の認識、修正アドバイスと修正教育を組み立てることができるのは実戦でたたき上げた私の特徴といえるところです。

 まとめますとコンサルティングの特徴は以下の4項目となります。

コンサルティングの特徴

1) 経営で許される予算のの範囲内で制度運用ができる賃金制度
2) コンピテンシーに基づく相対的業績評価と動機づけに強く結びつく絶対評価を組み合わせた育成型人事評価制度
3) 役割期待がシンプルで明確な役割等級制度と結びついたフィードバック重視の自立型目標管理制度
4) 人事制度を定着させる運用調整できるコア人材・コア人事担当者の育成