コロナでなくなった働き方改革?

 企業は人なりといいますが、その働く人が少なくなってしまう少子高齢化社会に入ってしまった日本。この中で生き残っていくための切り札が生き残り大作戦 としての「働き方改革」です。働く人が少なくなればどのような会社に人は集まるのでしょうか。大企業だから有利ということはありません。戦後の貧しかった時代に我慢を美徳に置き換え頑張ってきた日本、働く人もたくさんいた昭和の日本とは全く状況が一変しているのです。
 社会が成熟し一定の水準以上の豊かな社会になってきた令和の日本では働く人がどんどん少なくなってくる、すなわち完全な売り手市場の社会が継続していくことになるのです。 そうなると 一人一人が自分の働き甲斐、生きがいや幸せをを自分の行動で獲得できる社会となっていきます。どのような会社選ばれるのでしょうか。中小企業もその時代のカギを知り、働き方改革の活動を通じながら条件を整えていけば必ず生き残っていけるはずです。働き方改革の支援活動を通じながら改革の現実的なカギを探っていきたいと思っています。

 働き方改革推進センターの派遣専門家の活動を行うなかで、次のような会話に出会うことがよくあります。「働き方改革できてますか」とお聞きすると、「コロナで仕事がなくなって忙しくないから、残業もないし、休み取り放題だよ。もう改革することなんてないよ!」となんとも悲しいお話し。しかし表面的なお話しでは理解し同情も致しますが、本当にすべきことをご理解し、会社としての対応をなされているとはとても思えませんので次のようにお聞きします。「大変ですね、改革する必要がないといわれますが、働き方改革の狙いと国が事業主様にお願いしていることは対応できていると思われますか?」と問いかけますと「たくさんあるので改めて聞かれると自信はないが、みんな文句言ってないから大丈夫だと思うよ」とのこと。そこでわたくしから「お時間があるのであれば、会社にお伺いして、国が目指している働き方改革のねらいや法律の施行状況、会社として改革を取り組まないと損をするのか得をするのか何が起こるのかまとめてお話いたしましょうか。中小企業の社長様の巷の声を拾って、国が無料の個別相談を実施してますので」とここまで言うと「来てくれるのなら頼むよ」ということになるわけです。

金をかけず手短にやれる方法を教えてくれよ!?

何度言ったらわかるんだ!

こうして始まる私の活動も、中小企業の社長様が日々ご苦労されている状況がその現場でお聞きできるのでとてもよい勉強をさせていただいております。中小企業といっても規模が様々ですが、社長様が一人で切り盛りする限界と思われる30名前後の会社規模をイメージしてください。そこでは社長様が孤軍奮闘しながら会社経営をしており、「片手間」に人事総務の仕事をしている姿があります。一心不乱に経営をなさってきた道のりで「法律は守るが、明日の儲けにならないことはしない」というお考えに見事に徹底されているように思えます。そこには「最小限の人材で」「コストをかけるのは利益に直結することだけ」という発想で仕事を行わざるを得ない事情があるからです。

手持ちの人材は必ずしも優秀な人材がバランスよくいるわけでなく、能力差が多かったり、利益を創出できる部門にしかひとは配置できなかったり。その結果仕事のミスをカバーするのも、不足人員をカバーするのも社長自らということが多く、スーパー社長様が孤軍奮闘状態を自ら演出することになります。そのため、利益を生まない仕事としての働き方改革に関連することは“従業員から訴えられるような問題なければ”気にはなるけど余分なことはやらない方がよいし、やる時間もないと思っているというのが本音のようです。そのため就業規則も一回は届けたけどその後改訂はしていなとか平気でおっしゃる社長様がいたり、働き方改革の「従業員に年間5日は有給休暇を取らせる」ことはやっているよと精一杯の主張をされているが就業規則場では手を付けてないと後ろめたそうにおっしゃる社長様もいたり様々です。そのようなご苦労をされている背景がわかると私の方から「働き方改革は正しく理解して、実行すれば職場は明るくなり、好い人材が集まるようになりますよ。将来の会社の発展に必ずプラスになりますし、結果としてご褒美の助成金ももらえるようになると思いますよ」とお話しすると急に前のめりになってこられることがあります。「全体を聞かせてくれよ、でも人も時間も金もないから手身近にできる方法を教えてね」と言われたりもしますが、このような会話のやり取りを通じお人柄とご苦労がわかり、どのようなお話しからすれば前向きにお聞きしていただけるか感じ取れますので、そこからは社長様に合わせてお話しの順番を変えつつご説明をしていくことになります。ということで本題に入るわけですが、前置きが長くなりましたので今回はここまでに致します。

いつも頑張っているのに、ごめんね手伝えなくて。でも“開けない夜はないから”